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ベンチャー企業としての動画活用法

  • 2022年8月18日
  • 読了時間: 4分

更新日:2025年12月22日




投資家から資金を調達するうえで最も重要なことは、より多くの投資家と接点を持ち、事業について説明する機会を増やすことに尽きます。なぜなら、投資判断は決して画一的な基準で行われるものではなく、投資家ごとに明確な「好み」や重視点が存在するからです。


成長ステージ、事業分野、ビジネスモデル、関わっている人材、経営者の資質、財務状況など、どの要素が最終的な投資判断に強く影響するかは、実際に会話をしてみなければ分からないことが多くあります。この意味で、投資家との接触回数そのものが、資金調達の成功確率を大きく左右すると言えます。


代表者一人に依存した資金調達の限界


特にベンチャー企業が次の成長フェーズに進むための資金調達を行う際、代表者一人がほぼすべての資金調達活動を担っているケースが少なくありません。仮に、代表が1日に資金調達に割ける時間を4時間とした場合、実質的にプレゼンテーションを行える投資家は1日1名程度が限界でしょう。非常に順調に進んだとしても、1か月で接触できる投資家は20名程度に留まります。


これは起業家側にとっての制約であると同時に、投資家側から見ても合理的とは言えない構造です。投資家は限られた時間の中で多数の案件を比較・検討する必要があり、初期段階では詳細よりも「本質を短時間で把握できるかどうか」を重視する傾向が年々強まっています。


人を増やせないという現実的な制約


理論的には、代表と同等に事業を説明できる人材を複数育成することが理想です。しかし、資金調達前のベンチャー企業にとって、十分な営業・説明人員を確保することは現実的に困難です。人材育成には時間とコストがかかり、資金調達を急ぐ局面では大きな負担となります。


このように、資金調達には「説明の質」と「説明の量」の両方が求められる一方で、それを人力だけで解決することには明確な限界があります。


「1時間の説明を3分に凝縮する」という発想


この構造的な制約に対する一つの現実的な解決策が、「1時間のプレゼンテーションを、2〜3分の動画に凝縮する」という発想です。事業の本質を過不足なく伝えるという点において、代表者による説明と同等の情報密度を担保しながら、時間と場所の制約を取り払うことができます。


代表並みの説明品質を保ちつつ、聞いた人が気軽に他人に共有できるツールを持つことは、資金調達における説明の再現性を飛躍的に高めます。


紙資料中心という既存パラダイム


これまで、投資家向けの事業説明やBtoBの提案においては、紙ベースの資料が主流でした。動画といえば、商品の雰囲気を伝えるCMやブランディング用途というイメージが強く、事業の本質を伝える手段としては適さないという暗黙の前提があったように思われます。


その結果、ロジカルで本質的な事業説明を動画で行うという発想自体が、十分に検討されてきませんでした。


投資家の判断軸はすでに変わっている


しかし近年、投資家の意思決定プロセスは明らかに変化しています。マーケットの変化スピードが加速する中で、投資家は「すべてを細かく理解する」よりも、「事業の核を素早く把握する」ことを重視するようになっています。


数値や詳細資料は重要である一方、それらは本質を理解した後に確認される情報へと位置づけが変わりつつあります。


本質を短時間で伝える事業説明動画の価値


このような環境下では、イメージ重視の動画ではなく、課題設定、マーケット構造、解決策、競争優位性、展開性といった事業の骨格を、短時間で直感的に理解できる事業説明動画が有効に機能します。


CGやビジュアル表現を活用しながら、2〜3分のストーリーとして再構成することで、投資家は事業の全体像と要点を無理なく把握することができます。


投資家側にとっての実務的メリット

投資家の視点に立つと、事業説明動画は実務上の利点が非常に大きいツールです。事前に動画を視聴することで、初回面談の時点から前向きで具体的な議論に入ることができます。また、投資担当者が組織内で案件を共有する際にも、短時間で要点を伝えられるため、上層部への展開が容易になります。


さらに、仲介者や第三者が別の投資家に案件を紹介する際にも、思い立ったときにすぐ共有できる点は見逃せません。


最後に:動画は「代替」ではなく「拡張」である


もちろん最も重要なのは動画の中身、すなわち企画そのものです。特に金融機関やプロフェッショナル投資家に向けては、ロジックを損なわずに、いかに記憶に残る形で表現するかが問われます。そのためには、事業理解と企画力の両方を兼ね備えたクリエイターの関与が不可欠です。


投資家の視点に立てば、事業説明における動画活用は、大企業以上に、むしろベンチャー企業にこそ必要な手段だと言えるでしょう。動画は対面説明の代替ではなく、説明力と接触機会を拡張するためのツールです。その合理性は、今後ますます高まっていくと考えています。


 
 
 
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