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出資法と貸金業法を理解した投資を

  • 2021年7月8日
  • 読了時間: 4分

更新日:2025年12月22日



資金調達を検討する際、事業内容や成長性よりも前に、必ず確認しなければならない前提があります。それが、資金調達スキームの適法性です。どれほど魅力的な事業であっても、調達方法が違法であれば、その事業は継続することができません。


資金調達の方法は突き詰めると二つしかありません。負債を増やすか、資本を増やすかです。前者には金銭消費貸借契約や社債の引受などがあり、後者には株式引受による増資などが含まれます。この基本構造を理解せずに、表面的な利回りや条件だけで資金を集めようとすると、意図せず法令に抵触するリスクが高まります。


高利回りや元本保証がもたらす危うさ


幅広く資金を集めようとする場面では、不特定多数の資金提供者に対して、強いメリットを提示したくなる心理が働きがちです。例えば、「月利5%」「年利60%」「元本保証」といった条件は、一見すると非常に魅力的に映ります。しかし、これらの条件は、資金調達の形態によっては明確に違法となります。


資本を増やす、つまり出資を受ける形であるにもかかわらず、元本や利回りを保証することは許されていません。また、負債として資金を借り入れる場合でも、利息には厳格な上限が設けられています。ここを曖昧にしたまま資金を集めることは、調達する側だけでなく、投資する側にとっても大きなリスクとなります。


利息の上限は「知らなかった」では済まされない


貸付に関する利息については、利息制限法および出資法という二つの法律が関係します。利息制限法では、100万円を超える貸付について年利15%以内と定められており、出資法では一律で年利20%を超えると違法となります。この間に存在する、いわゆる「グレーゾーン金利」は、民事上は無効とされ、行政処分の対象となります。


重要なのは、業として貸付を行う場合と、そうでない場合で扱いが異なる点です。業として行う貸付で年利20%を超えた場合には、刑事罰の対象となります。さらに、一定の水準を超えると、重い刑罰が科される可能性もあります。


これらは理論上の話ではなく、実際に多くの事例が存在します。「知らなかった」「悪意はなかった」という理由は、免責にはなりません。



元本保証という言葉の持つ危険性


元本保証は、資金提供者にとって非常に安心感のある言葉です。しかし、出資法においては、正規の認可を受けていない限り、元本を保証することは原則として認められていません。


元本保証は、投資家側のリスクを著しく低減させるため、つい訴求したくなる条件でもあります。しかし、この一言が違法性を決定づけるケースも少なくありません。違反した場合には、刑事罰の対象となる可能性があることを、調達側も投資側も理解しておく必要があります。


「預り金」とみなされるリスク


資金調達において見落とされがちなのが、「預り金」と判断されるリスクです。不特定多数から、預金や定期預金に類する形で資金を受け入れ、明示的または暗黙的に返還や保証を示唆した場合、それは預り金とみなされる可能性があります。


この場合も、正規ライセンスがなければ違法となります。名目や表現を工夫したとしても、実態で判断される点には注意が必要です。


「保証を外せば安全」という誤解


違法性を回避するために、元本保証や利回り保証はしないものの、高利回りを強調した形で出資金を募集するケースも見受けられます。株式を対価とする場合には問題になりにくい一方で、それ以外の形態では、いわゆる「集団投資スキーム」に該当する可能性が高まります。


集団投資スキームという名称から、「複数人から集めなければ該当しない」と誤解されがちですが、実際には一名からの出資であっても、要件を満たせば該当します。適切な許認可を取得せずにこのスキームを用いることは、金融商品取引法等に抵触する可能性があります。


問題が顕在化するのは「うまくいかなくなった時」


多くの場合、返済や配当が順調に行われている間は、違法性が表面化することはありません。そのため、当事者はスキームに成功体験を感じ、問題を認識しないまま進んでしまうことがあります。


しかし、一度返済や配当が滞った場合、状況は一変します。投資家からの追及や第三者の関与によって、スキーム全体の適法性が一気に問われることになります。その結果、事業の継続が困難になるだけでなく、関係者個人の生活にも重大な影響を及ぼす可能性があります。


投資家・起業家双方に求められる姿勢


資金調達は、事業成長のための手段であり、目的ではありません。投資する側も、される側も、知らず知らずのうちに違法なスキームに関与していないか、一度立ち止まって検討する姿勢が不可欠です。

短期的な資金確保よりも、長期的に事業と信頼を守ること。その視点に立った資金調達こそが、結果として最も合理的な選択になると私たちは考えています。




 
 
 

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