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事業買収時にどんなポイントを見るのか



事業承継のニーズは年々高まっています。一方でアーリーリタイアやシリアルアントレプレナーを目指す経営者も増えています。事業承継を考えた場合、引き受け側の視点はどのようなものでしょうか?企業価値の算出に絞り、考えていきます。


まず企業価値とは、自社で決めるものではなく、第三者あるいはマーケットが決めるものです。承継候補者の動機によって比重を置くポイントは様々ですが、企業価値の算定における最低限の項目としては以下を確認します。


1.財務内容

単純に数値面での投資回収は何年後になるのかを評価します。稼ぐ力を見るところから、稼いでも日々の運転資金があるのかを見て、万が一事業がうまくいかなかったときに投資回収できるのかと、3段階で確認をしています。

・収益力ー稼ぐ力はあるのか

・キャッシュフローー追加投資などはなく、既存事業でキャッシュは回っていくのか

・純負債額ー負債から現預金を差し引いた、実際の負債額はいくらであり、返済できる範囲なのか

・その他流動性の高い資産ー短期的な清算時の価値はいくらなのか


2.将来性

どこまで事業が成長していくかを見極めます。まずはマーケット(市場ニーズ)がしっかりあり、今後成長していくものであることを確認し、その中で他社を寄せ付けない障壁を築けるかを見ています。

・市場規模ーそもそも市場自体が十分な大きさを持っているのか

・成長性ー斜陽事業ではなく、今後伸びていく事業なのか

・参入障壁ー他社の参入を許さない要素を持ち合わせているか(あるいは構築できるか)


3.ポジショニング

業界の市場構造の中で現実的なポジション(商流の一旦)をとれるか、利害関係者全体のバランスをとりながらシェアを拡げていけるかを観察します。

・業界構造の中での位置づけー業界の利害関係者内の位置づけを正確に把握します

・ポジショニングの現実性ー他利害関係者や既存の権力構造のなかで、無理なくシェアをとれる状態にあるか

・利益率ー利害関係者の中で、十分な利益率を永続的に確保できる状況を構築できるか


一般的に企業価値の計算として、時価純資産をEBITDAの3倍から5倍程度で評価して、純負債額を考慮することで簡易に算出することが多く見られます。ただし、それ以上の付加価値をつけるには、2や3を正確に伝える必要があります。これらは、ベンチャーキャピタルや拡大志向の強い事業会社などには、魅力的に映ります。

そうして導き出された市場価値を基準に承継者候補を、①承継動機、②承継候補者の財務内容・承継コスト調達方法、③事業継続・拡大性の観点から、絞り込んで打診していくと、短期間でよい候補先との交渉に入る可能性が高まります。


投資家の視点から発想しましょう。


                                              

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